阿呆が

入学式

入学式

(誰のせいでこうなっていると思ってんだ?!)

叫びたいが息があがってきている。遅刻しない為にも無駄な体力を使う余裕はない。

とにかく、今は走るしかない。

排気音が響く住宅街を二人の青年が、真剣な表情で疾走するのはかなり絵になる。もっとも、シチュエーションに至る理由が情けないことこの上ないのだが。

「……これで、遅刻、したら、藁人形、使って、三年殺しだ……」

卓の意味不明な呟きは自動車の排気音に掻き消されていった。

幸いな事に入学式には間に合った。

汗だくで必死な形相で校門に駆け込んでくる生徒は数多いが、入学式当日に遅れてくる輩は年に一人いるかいないかだろう。

体育館で行われた入学式は、校長による拷問に近い永遠に終わらないのではないかと思わせる演説、来賓から寄せられたはた迷惑な手紙の朗読、生活指導部からの絶対に心がけられないであろう学校生活における心構え等々……八時から昼まで延々と続けられた。それでも生徒達は忍耐強く、あるいは休眠することでその攻撃に対処し、学食で食事を取ろうか、あるいは持参した弁当をどこで食そうかという相談が為されている。