学食
翼の持論は、人がいなくなってからゆっくりと学食に行く。
卓の持論は、人を蹴倒してでも飯にありつく、であった。
「え〜、それでは、入学式を終わります。それから皆様に一つ注意をしておきます。我が校の部活勧誘は大変苛烈極まるものでありますので……」
再び登壇した先生が何か言っているが、そんなものを聞いている生徒は誰一人としていないようだ。皆ざわざわと緊張感と倦怠感から解放された事を喜びあっているようだ。
そして、それはこの二人も例外ではない。
「……そんなに急がなくても」
「るせえ! 食わなきゃ食われる! 弱肉強食は世の慣わしだ!」
拳を握り締めて力説する卓に、翼は両肩を竦めておどけてみせた。二人は正反対と思われる性格なのに、うまは非情にあう。正反対だからこそ互いの性格に惹かれ、仲が良いのかもしれないが。
「いいか、一、二、三で一気に出るぞ」
「……怪我しても知らないよ」
「先公達は出口に殺到しないように、だなんて一言も言ってねえ。構やしねえよ」
正直、本当に危ないと思う。なぜなら卓も言ったように先生方は特に退出する順番の指示を下してないからだ。つまり、出口目掛けて人がどっと押し寄せる可能性がある。