阿呆が

覆面

覆面

人類はこのまま敗北を待つばかりかと思われた。が、十数年前に開発されたとある兵器の登場で事態は変化し……  

ドフッ、ドフッ

 砂を踏み締める機械音が、覆面の背後に起こる。

 覆面が鬱陶しそうに背後を振り返る。巨大な足が踏み出されるたびに微細な砂粒が舞い上がる。

「そうだな。重要なのは過ぎた過去より、取り返しのつく現在」

太陽光を黒光りする鉄が禍々しい程までに乱反射し、意思を持たぬ虚ろなモノアイが覆面を三メートルはある巨体から見下ろしている。常人の腰ほどもある腕に抱かれているのは人の腕力では携行しきれぬ大型の機関銃。数は三体。

巨体に似合わぬ速度で左右に展開し、覆面に襲い掛かろうとする。三方に散った鉄の傀儡が標的を倒すべく、トリガーを引く。

 無情な炸裂音に、覆面は……いまだ、無傷でそこに立っている。どういう原理なのか、弾丸は回転し、火花を散らせながら空中で停止している。