最後の策
ばしゃあ!
轟音がドアから轟く。眼の前には全く統一性のない学生の群れ。運動部、文化部、生徒会、応援団と勢ぞろいのようだ。
「さあ羽賀卓君! 君も我々と共によりよき学園を創出するための……」
「お前の運動神経は甲子園に行く為のものだ! さあ!」
「ファイトォ! ファイトォ! す・ぐ・る!」
どんどんどん、ぱふぱふぱふ、と太鼓と打楽器、吹奏楽の類まで出て来た。
卓の運動神経を欲して運動部が動くのはわかるが、どうして文化部が動くのか、ましてや生徒会まで動くのかがわからない。
彼女を含めた翼、卓の計三人は眼前の光景をぼけっ、と見つめていた。
「さあ」
「君達は」
「どの部に」
「入るのかなぁ〜?」
合唱部なのではと思うような見事なファルセット・ハーモーニーを歌い上げ、彼ら、もとい彼女達はずい、と一歩を踏み出す。どうやら翼も彼らの獲物の中に入っているらしい。
(こ、こんな人達と三年間も一緒に暮らせるの?)
否。即座に明確な回答を翼は弾き出す。
ではこの囲みを突破出来るか?
……それも否……
この異様な状況を何とか打破出来ないものかと、翼は思案げに眼を周りに走らせる。
視線が捉えたのは、部屋にあった一台の天体望遠鏡。
皮手袋の彼女と眼が会う。もう策はこれしかない。
翼は彼女の瞳に縋るような視線を投げかけた。