阿呆が

改善

改善

そんな最中、人の良さそうなロバートが応援に来てくれたのだ。それは手放しで喜ぶべきことだし、十年以上もの経験者ならば一通りの事は心得ているだろう。話しでは期間は一ヶ月程だそうだが、可能ならもっといてほしいと、厚かましいとは思いつつも翼はロバートに頼んだ。

それでもロバートは可能な限り善処すると快い返答をくれた。 

そうこう話しているうちに科乃学園についてしまった。

「ここがシナノ学園ですね」

ロバートはお世辞にも整っているとは言い難い施設を目にすると眉をしかめた。

「あ、翼あんちゃん」

「あんちゃん。遊ぼう」

「ねえねえ、今日学校でさぁ」

数秒もしない内に子どもの輪が出来上がる。ある子どもは翼の腕にぶら下がり、ある子どもは翼の制服の裾をひしとつかんでいる。

「皆、悪いけど、お客さんだ。またあとでな」

言い寄って来る子ども達を一人ずつ丁寧に宥めながら翼は玄関に入る。

「良いお兄ちゃんですね、ツバサ君」

ロバートは微笑みながら翼に囁くが、翼は背を向けたままだ。

「そうでもないです。僕に出来ることは限られてますし……」

天井を指差し、

「この状況を改善出来るかと言われれば、僕は無力に等しい」