過去の亡霊
「……忌わしき過去の亡霊、か……消えたまえ」
呟きはしかし三体には聞こえていまい。
灰色のローブを喰い破るように、ビリビリという音をたてて、背から翼が広げられる。
鋼鉄の骨細工。恐竜の翼をモチーフにしたような、残骸めいた羽根。骨格の太い部分には半球体の水晶が取り付けられている。
半球体が淡く光を灯し、鳥が鳴くような羽ばたきが奏で、人工的に移植された第三の瞳が紫紺の輝きを放つ。
すると、左右に散っていた二体の自動装甲歩兵は、上半身と下半身が真っ二つに両断された。残る一体は砂を蹴り、不可視の攻撃を回避したのか、焦燥しているようにモノアイを周囲に向けるが、
「!」
命令を与えられ、その目的を完遂することしか出来ぬ機械に、もし感情があったのならば、彼のそれは驚愕と言っても良いだろう。
眼の前の覆面が、文字通り消えたのだから。